【第2回|AI社員の作り方】自分の業務を棚卸しして、AIに任せる仕事を見つけよう

目次
前回は、「一人+AI社員」で事業を動かすAIソロプレナーという働き方について紹介しました。
AIソロプレナーでは、人間が事業の方向性や最終判断を担い、調査・文章作成・資料作成などの仕事をAI社員に任せていきます。
しかし、実際にAI社員を作ろうとすると、最初に次のような疑問が出てきます。
「自分の仕事のうち、何をAIに任せればいいのだろう?」
そこで今回は、自分が普段行っている業務を棚卸しして、次の3つに分類します。
- 人間がやる仕事
- AIに補助してもらう仕事
- AIに任せる仕事
この記事を読みながら実際に手を動かし、AI化の候補となる業務一覧を作っていきましょう。
なぜ最初に「業務の棚卸し」が必要なのか
AIツールを先に導入しても、任せる仕事が曖昧なままでは、うまく活用できません。
例えば、ChatGPTやClaudeに「自分の仕事を効率化して」とお願いしても、AIは次のような情報を知りません。
- 普段どのような仕事をしているのか
- どの業務に時間がかかっているのか
- どのような成果物が必要なのか
- どこまでAIに任せてよいのか
- どこから人間の確認が必要なのか
AI社員を作る場合も、人を採用する場合と同じです。
先に仕事を整理し、その後で担当者を決める。
この順番で考えることで、AIに任せる仕事や必要な機能が明確になります。
反対に、仕事を整理せずにAIツールを導入すると、最初は使ってみたものの、いつの間にか使わなくなる可能性があります。
そのため、AI社員を作る前に、まずは自分の仕事を見える化することが重要です。
STEP1:普段の業務をすべて書き出す
最初に、自分が普段行っている業務をすべて書き出します。
この段階では、AIに任せられるかどうかを考える必要はありません。
まずは、自分が何に時間を使っているのかを把握することが目的です。
例えば、私の場合であれば、次のような業務があります。
- YouTube動画の企画
- 動画の撮影・編集
- SNSへの投稿
- ブログ記事の作成
- 営業資料の作成
- 市場・競合リサーチ
- 問い合わせ対応
- 商談
- 請求書の作成
- 経理・事務作業
ここで重要なのは、仕事を大きな単位のまま書かないことです。
例えば、「YouTube動画を作る」という仕事は、実際には次のような複数の作業で構成されています。
- 動画のテーマを考える
- 関連情報を調査する
- 動画の構成を作る
- 台本を書く
- 撮影する
- 動画を編集する
- サムネイルを作る
- タイトルと概要欄を書く
- YouTubeへ投稿する
- 公開後の数値を確認する
「動画制作」という大きな単位のままでは、どの部分をAIに任せられるのかが分かりません。
実際に手を動かす作業単位まで分解することがポイントです。
業務を書き出すときの切り口
何から書けばよいか分からない場合は、次のような切り口で普段の仕事を振り返ってみましょう。
- 毎日行っている仕事
- 毎週・毎月繰り返している仕事
- 顧客や取引先とのやり取り
- 情報を探す、集める、整理する仕事
- 文章・画像・資料などを作る仕事
- 別のツールへ情報を転記する仕事
- 内容を確認・承認する仕事
- 請求、経理、事務に関する仕事
- 時間がなくて後回しになっている仕事
カレンダーやタスク管理ツール、メールの送信履歴などを見返すと、普段は意識していない細かな仕事も見つけやすくなります。
まずは直近1週間を振り返り、10個程度の業務を書き出してみましょう。
STEP2:業務の内容を整理する
業務を書き出したら、それぞれの業務について詳しい情報を整理します。
項目 | 確認する内容 |
|---|---|
業務名 | どのような作業をしているか |
発生頻度 | 毎日、週1回、月1回など |
作業時間 | 1回あたり何分・何時間か |
入力情報 | 作業を始めるために必要な情報 |
成果物 | 最終的に作成するもの |
作業手順 | 進め方やルールが決まっているか |
判断箇所 | 人間による確認や判断が必要か |
例えば、「ブログ記事の作成」であれば、次のように整理できます。
項目 | 内容 |
|---|---|
業務名 | ブログ記事の作成 |
発生頻度 | 週1回 |
作業時間 | 約3時間 |
入力情報 | テーマ、読者、伝えたい内容 |
成果物 | 記事の構成と本文 |
作業手順 | 調査、構成作成、執筆、推敲 |
判断箇所 | 内容の正確性と公開可否を確認する |
ここまで分解すると、次のような役割分担が見えてきます。
- 記事のテーマは人間が決める
- 情報収集や構成作成はAIに任せる
- 本文の下書きもAIに任せる
- 内容の確認と最終判断は人間が行う
このように業務を具体的に整理することで、AIに任せられる部分が見つけやすくなります。
STEP3:業務を3つに分類する
次に、書き出した業務を「人間がやる仕事」「AIに補助してもらう仕事」「AIに任せる仕事」の3つに分類します。
1.人間がやる仕事
経営判断、重要な商談、交渉など、責任や信頼関係を伴う仕事です。
AIに情報整理や選択肢の提案をしてもらうことはできますが、最終的な意思決定は人間が行います。
例えば、次のような仕事です。
- 事業の方向性を決める
- 顧客へヒアリングする
- 取引条件を交渉する
- 採用する人を決める
- 商品を試食・試飲して選ぶ
- 成果物を公開するか判断する
AIは判断材料を出すことはできますが、その結果に責任を持つことはできません。
そのため、重要な判断は人間が担当します。
2.AIに補助してもらう仕事
AIに調査・整理・比較・下書きなどを任せ、人間が確認・修正して完成させる仕事です。
現時点では、多くの知的業務がこの分類に入ります。
例えば、次のような仕事です。
- 市場や競合の調査
- ブログ記事の構成・下書き
- 営業資料のたたき台作成
- 問い合わせへの返信案作成
- 会議内容の要約
- 複数の見積もりの比較
- SNS投稿案の作成
- 動画台本の作成
最初からAIにすべて任せるのではなく、まずは人間の作業を補助してもらいます。
AIが作成した成果物を人間が確認し、問題がなければ少しずつ任せる範囲を広げていきます。
3.AIに任せる仕事
手順や判断基準がある程度決まっていて、AIがルールに沿って進めやすい仕事です。
例えば、次のような仕事があります。
- 定型フォーマットへの情報入力
- 会議録の作成・保存
- 指定した条件での情報収集
- 毎週のレポート作成
- 定型メールの下書き
- 成果物の指定フォルダへの保存
- データの分類・整理
ただし、AIに任せられそうな仕事でも、最初から完全自動化する必要はありません。
しばらくは人間が結果を確認し、品質が安定してから自動化の範囲を広げる方が安全です。
また、次のような元に戻しにくい操作には、人間の承認を入れます。
- 顧客へのメッセージ送信
- 契約
- 決済
- データの削除
- SNSやWebサイトへの公開
STEP4:AI化の候補を見つける
3つへの分類が終わったら、「AIに補助してもらう仕事」と「AIに任せる仕事」を見直します。
特に、次の特徴がある業務はAI化の候補です。
- 繰り返し発生する
- 作業に時間がかかっている
- 手順やフォーマットが決まっている
- 必要な情報をデータとして渡せる
- 成果物の良し悪しを確認できる
- 失敗しても人間が修正できる
例えば、毎週3時間かけて作成しているレポートをAIで1時間に短縮できれば、1カ月で約8時間を生み出せます。
一方で、月に1回、10分しか発生しない業務を自動化しても、大きな効果は期待できません。
大切なのは、AIにできるかどうかだけでなく、AIに任せることで本当に時間や負担が減るかを考えることです。
実践:業務棚卸しシートを作ろう
ここまでの内容をもとに、業務棚卸しシートを作成してみましょう。
業務 | 頻度 | 作業時間 | 分類 | AIに任せたい部分 |
|---|---|---|---|---|
SNS投稿 | 週3回 | 各30分 | AI補助 | 投稿文と画像案の作成 |
問い合わせ対応 | 毎日 | 各15分 | AI補助 | 内容の分類と返信案の作成 |
週次レポート | 週1回 | 60分 | AIに任せる | 数値の集計と文章化 |
商談 | 週2回 | 各60分 | 人間 | 事前調査と議事録のみAI補助 |
ブログ記事作成 | 週1回 | 3時間 | AI補助 | 調査、構成、本文の下書き |
最初から完璧な一覧を作る必要はありません。
まずは直近1週間の仕事を書き出し、その後も仕事をしながら、気づいた業務を追加していけば十分です。
この段階では、AI化する業務を一つに絞る必要もありません。
まずは候補を見える化し、自分の仕事のどこにAI社員を配置できそうかを把握しましょう。
まとめ
今回は、AI社員を作る前の準備として、自分の業務を棚卸しする方法を紹介しました。
業務棚卸しは、次の流れで進めます。
- 普段の業務を作業単位で書き出す
- 発生頻度や作業時間、成果物などを整理する
- 「人間がやる」「AIに補助してもらう」「AIに任せる」に分類する
- AIによって時間や負担を減らせそうな業務を見つける
今回のゴールは、すぐに業務を自動化することではありません。
自分がどの仕事に時間を使い、どの部分をAIに任せられそうかを見える化することが重要です。
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