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【FDE完全入門 6/8】問い合わせ対応AIを設計する!要件定義から試作まで

JAPANWAVE編集部2026年11月3日読了時間: 6分
【FDE完全入門 6/8】問い合わせ対応AIを設計する!要件定義から試作まで
目次

「FDE完全入門」連載・第6回(全8回)

「問い合わせへの返信を、AIで早くしたい」。そんな相談を受けたら、何から始めればよいでしょうか。

まずは、担当者がどこで困っているかを聞きます。

そのうえで、役立つかどうかを試せる小さな仕組みを作ります。

今回は、その順番を一緒にたどります。

題材は、生活雑貨を売る架空のネットショップ「A社」です。

規定や質問も学習用の設定です。実際の導入事例や、成果を報告する記事ではありません。

1.「何に時間がかかるのか」を聞く

A社の担当者は、メールを読み、配送案内や返品ルールを調べてから返信しています。

社長は「返信を早くしてほしい」と考えています。

ただし、文章を書くのが遅いとは限りません。

正しい資料を探すのに時間がかかることもあります。

上司の返事を待っているのかもしれません。

そこで、担当者に「最近の問い合わせを一つ、いつもの手順で処理してもらえますか」と頼みます。作業を見ながら、次のことを聞きます。

  • どんな質問がよく届きますか。
  • どの作業で、手が止まりますか。
  • 回答の根拠は、どこで確認していますか。
  • 自分で答えず、上司に相談するのはどんなときですか。

この演習では、「返品ルールを探し、説明文を書く作業に手間がかかる」と分かったことにします。

ここまで絞ると、作るものが見えてきます。

実際のメールを調べる場合は、利用の許可と社内ルールを確認します。

顧客の名前や住所を、勝手に外部のAIへ送ってはいけません。

最初は架空の質問だけでも試せます。

2.AIに任せる仕事を一つに絞る

今回は「社内の担当者が使う、返信の下書き」を作ります。

お客さまが直接使うチャット画面は作りません。

AIがすることは、承認済みの資料を探し、その内容に沿って返信案を書くことです。

担当者は資料と下書きを見比べ、必要なら直してから送信します。

最初に、やらないことも書いておきます。

  • お客さまへ自動でメールを送らない。
  • 返金や返品の可否を、独自に決めない。
  • 注文や配送先を変更しない。
  • 個別の注文状況は調べない。

たとえば「返品の連絡期限はいつですか」は、資料から案内できます。

「期限を過ぎたけれど、特別に返金してほしい」は、人が判断する質問です。

こうして、誰のために何を作るかを決める作業を「要件定義」といいます。

難しく考えず、作る範囲を関係者でそろえる作業だと捉えてください。

3.AIに読ませる資料を用意する

試作では、配送案内、返品ルール、商品のよくある質問の3種類を用意します。

量を増やすより、どれが正しい資料かをそろえることを優先します。

資料には、名前、更新日、管理する人を書きます。

古い返品ルールが残っていると、新旧どちらを使えばよいか迷います。

使うのは、確認済みの最新版だけにします。

AIには、質問に関係する部分を探して渡します。

その資料を根拠に、下書きを書かせます。

資料にないことまで答えさせる必要はありません。

たとえば、この演習の返品ルールを「未開封の商品は、到着後7日以内に連絡してください」とします。

これは架空の設定であり、一般的な返品の法律や制度の説明ではありません。

根拠が見つからなければ「資料で確認できません」と表示します。

資料同士の内容が食い違う場合も、人に確認を頼みます。空欄を埋めるために、もっともらしい答えを作らせないことが大切です。

4.小さな下書き画面を作る

最初の画面は、次の4つが見られれば十分です。見た目を整える前に、担当者が確認しやすいかを考えます。

  1. 届いた問い合わせ。
  2. AIが作った返信の下書き。
  3. 根拠にした資料と、その該当部分。
  4. 人に確認してほしいこと。

試しに「返品の連絡は何日以内ですか」と入力します。先ほどの架空の資料なら、下書きは次のようになります。

未開封の商品は、到着後7日以内にご連絡ください。

その下に、参照した「返品ルール」と該当部分を表示します。

担当者が資料を開き、条件が抜けていないかを確かめられるようにします。

一方、「開封済みでも返金してもらえますか」には、返金を約束しません。

「資料では判断できないため、担当者の確認が必要」と表示します。

処理は「質問を受け取る→資料を探す→下書きを作る→人が確認する」の順番に固定します。

AIに自由に仕事を進めさせる仕組みは、まだ必要ありません。

Anthropicも、まずは単純な方法を選び、必要になったら複雑にする考え方を示しています。

参考:Anthropic「Building effective agents」

「送信しないで」と指示するだけでは不十分です。この試作には、メール送信や返金の機能自体をつながないようにします。

5.担当者に使ってもらい、直す場所を見つける

架空の質問をいくつか入力して、担当者に操作してもらいます。

正しい文章が出るかだけでなく、資料をすぐ確認できるか、修正しやすいかも見ます。

たとえば、下書きはすぐ出ても、根拠の資料を探し直す必要があれば、仕事はあまり楽になりません。

AIの待ち時間だけでなく、確認と修正にかかる時間も測ります。

間違いが出たら、原因を分けて記録します。必要な資料がないのか。

資料を見つけられなかったのか。見つけた内容を読み違えたのか。

原因が違えば、直す場所も違います。

この段階で残すものは、動く画面、対象にする質問、対象外の質問、使う資料、見つかった問題です。「返信を何割減らせた」といった成果は、測る前に書きません。

まとめ:まずは一つの困りごとを助ける

今回の出発点は、「問い合わせを全部自動化する」ではなく、「担当者が資料を探して下書きを作る手間を減らす」でした。

困りごとを聞き、範囲を絞り、小さく作って確かめる。これがFDEの仕事を体験する第一歩です。次回は、この試作を実際の仕事で使う前のテストと準備を考えます。

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