開発事例

【開発事例紹介】月額数十円〜で運用可能。LINE × 生成AI(Dify)による「マルチテナント型」自動応答システム

JAPANWAVE編集部2025年11月20日読了時間: 4分
【開発事例紹介】月額数十円〜で運用可能。LINE × 生成AI(Dify)による「マルチテナント型」自動応答システム

はじめに

現在、多くの企業様で「LINE公式アカウント」の活用が進んでいますが、以下のような課題をよく耳にします。

  • 「既存のチャットボットツールは月額固定費が高すぎる」
  • 「キーワード応答しかできず、柔軟な会話ができない」
  • 「複数店舗・複数クライアントの管理が煩雑」

今回、これらの課題をすべて解決するため、AWS(クラウド)と最新の生成AI(Dify)を組み合わせた、独自のサーバーレスシステムを開発しました。

運用コストを極限まで下げつつ、高度なAI対応を実現した事例としてご紹介します。

システムの概要

本システムは、LINEに送られたメッセージをAIが解析し、その企業独自の知識に基づいて自動返信を行うソリューションです。

最大の特徴は、「インフラのコード化(IaC)」と「マルチテナント設計」です。これにより、1つのシステム基盤で、数十〜数百社の異なるLINEアカウントを一元管理することを可能にしました。

技術スタック

  • プラットフォーム: AWS (Lambda, API Gateway, DynamoDB)
  • AIエンジン: Dify (LLM)
  • インフラ管理: Terraform (IaC)
  • 言語: Node.js

開発のポイント

今回の開発において、こだわった3つのポイントをご紹介します。

1. 驚異的なランニングコストの削減

通常のSaaS型チャットボットは月額数万円の固定費がかかることが多いですが、本システムは「完全従量課金」で構築しました。

サーバーを常時起動せず、メッセージが来た瞬間だけプログラムが動く「サーバーレス構成」を採用。これにより、月間1,000通程度のやり取りであれば、インフラコストは約0.15円(※)という、実質無料に近い運用コストを実現しました。 (※AWS東京リージョンでの概算)

2. 「Dify」連携による、賢い接客

従来の「キーワード応答(『料金』と入れたら料金表を出す等)」ではなく、生成AIプラットフォーム「Dify」と連携させました。

これにより、人間のような柔軟な対応が可能になります。Dify側の設定を変えるだけでAIが賢くなるため、プログラムの修正も不要です。

  • 「マニュアルにない言い回しでも文脈を理解して回答」
  • 「PDFなどの社内資料を読み込ませて回答ソースにする」

3. 複数クライアントの一元管理(マルチテナント)

開発者視点で最も注力したのがここです。 企業ごとにバラバラにシステムを作るのではなく、「Terraform」を用いてインフラをコードで管理しています。

これにより、新しいクライアント(または新店舗)を追加する際は、設定ファイルを1つ追加するだけで、即座に専用のAIボット環境が立ち上がります。メンテナンスや機能追加も全アカウントに一括反映できるため、保守運用性が飛躍的に向上しました。

導入による効果

このアーキテクチャを採用することで、以下の成果が得られます。

  • コストダウン: 固定費ゼロによる圧倒的な利益率の改善。
  • 顧客満足度: 24時間365日、AIによる即時かつ的確なレスポンス。
  • 拡張性: 1社からスタートし、50社、100社と増えてもシステム構成を変えずに対応可能。

今後の展望

今回のシステムは「LINE × AI」のベースとなる部分です。 今後は、この基盤を活用して「予約システムとの連携」や「音声入力対応」、「社内用AIアシスタントへの転用」など、さらなるDX推進の土台として活用していく予定です。

「自社にもAIチャットボットを導入したいがコストが合わない」「複数のLINEアカウントを効率よく管理したい」というニーズがあれば、ぜひ本事例のノウハウがお役に立てるはずです。

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※ 本記事の内容は、執筆時点での情報に基づいています。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。 また、記載されている内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の状況に対する専門的なアドバイスではありません。 ご利用にあたっては、必要に応じて専門家にご相談ください。