【第4回|AI社員の作り方】最初のAI社員の役割と仕事を設計しよう

目次
前回は、棚卸しした業務の中からAI化する仕事を選び、導入ロードマップを作りました。
今回は、選んだ仕事を担当する「AI社員」の役割を設計します。
ここでいうAI社員とは、特定の役割や指示を与え、仕事を任せるAIのことです。人間の社員と同じように、何を担当し、何を受け取り、どのような成果物を作るのかを決めていきます。
この段階では、まだツールの設定や実装は必要ありません。まずは、最初のAI社員に任せる仕事を具体的にしていきましょう。
なぜAI社員の役割を設計するのか
AIに「マーケティングをお願いします」と伝えても、何をどこまで任せたいのかは十分に伝わりません。
市場調査なのか、ブログ執筆なのか、SNS投稿なのかによって、必要な情報も成果物も変わります。
例えば、次のように決めると仕事の範囲が明確になります。
自社ブログの記事をもとに、Xの投稿案を3つ作成する。投稿案は人間が確認し、公開する。
ここまで具体的にすると、AIに渡す情報や、人間が確認するタイミングも見えてきます。
最初から何でもできるAI社員を目指さず、一つの仕事を担当するAI社員から始めることがポイントです。
AI社員の設計で決める5つのこと
今回は「SNS投稿案を作成するAI社員」を例に、次の5つを決めていきます。
設計する項目 | 決めること |
|---|---|
担当業務 | 何のために、どこまで仕事を任せるか |
受け取る情報 | 仕事を進めるために何を渡すか |
作成する成果物 | どのような形式・内容で仕上げるか |
使用するツール | どのツールを、何のために使うか |
人間が確認する箇所 | どこで、何を確認・判断するか |
1. 担当業務を決める
まず、そのAI社員に任せる仕事を一文で表します。
「SNS担当」のような役職名だけでなく、具体的な作業まで決めましょう。
今回の例では、次のようにします。
自社ブログの内容をもとに、記事への興味を引くXの投稿案を3つ作成する。
あわせて、担当する範囲も決めます。
- 任せること:記事の要点整理、切り口の提案、投稿文の作成
- 人間が行うこと:投稿案の選定、内容の最終確認、公開
こうして範囲を決めると、「投稿案の作成まで頼んだつもりが、公開まで進めてしまった」といった認識のずれを防ぎやすくなります。
2. 受け取る情報を決める
次に、AIが仕事を進めるために必要な情報を整理します。
SNS投稿案を作成する場合、記事の本文だけでなく、誰に何を伝えたいかも必要です。
例えば、次の情報を渡します。
- 元になるブログ記事の本文とURL
- 想定読者
- 投稿の目的
- 文体や表現のルール
- 過去の投稿例
ここでは、毎回渡す情報と、共通で使う情報を分けて考えると整理しやすくなります。
情報の種類 | 具体例 |
|---|---|
毎回渡す情報 | 記事本文、記事URL、今回特に伝えたいこと |
共通で使う情報 | 想定読者、文体、避けたい表現、過去の投稿例 |
この回では「何が必要か」を決めるところまでで十分です。実際の資料や指示の準備は、第5回で行います。
3. 作成する成果物を決める
次に、AIから何を受け取るかを決めます。
「いい感じの投稿文」では、完成の基準が曖昧です。投稿案の数、長さ、含める内容などを具体的にしましょう。
例えば、次のように設定します。
項目 | 設定例 |
|---|---|
作成するもの | Xの投稿案を3つ |
長さ | 各案の本文は100〜180文字を目安とし、URLは別記する |
切り口 | 共感、課題提起、実践のヒント |
含めるもの | 投稿文、記事URL、各案の狙い |
注意点 | 記事にない実績や数値を加えない |
さらに、「何ができていれば完了か」も決めます。
今回なら、記事の内容に沿った、切り口の異なる3案がそろい、人間が比較できる状態になれば完了です。
成果物の形が決まっていると、確認しやすくなり、修正も具体的に伝えられます。
4. 使用するツールを決める
次に、仕事に必要なツールを整理します。
ただし、最初から複数のツールを連携させる必要はありません。今回の例なら、AIとのチャットに記事本文を貼り付け、投稿案を受け取る形でも始められます。
まずは、次のようにシンプルに設計します。
作業 | 使用するツール・方法 |
|---|---|
記事情報を渡す | AIとのチャットに本文とURLを入力する |
投稿案を作成する | AIがチャット内で文章を作成する |
投稿案を確認する | 人間がチャット上で確認する |
公開する | 人間がXで投稿する |
ツールを決めるときは、名前だけでなく、どの情報を読み取り、何を書き込んでよいかも考えておきます。
今回は投稿案の作成が目的なので、AIにXへの投稿権限を与える必要はありません。
情報の自動取得や保存、通知といった外部ツールとの連携は、第7回で扱います。
5. 人間が確認する箇所を決める
最後に、人間がどこで何を確認するかを決めます。
今回の例では、AIが3案を作成したあと、公開する前に確認します。
確認するポイントは、次のとおりです。
- 元の記事と内容が一致しているか
- 数値や実績などを勝手に追加していないか
- 誇張や誤解を招く表現がないか
- 自社の発信として自然な文体か
- 記事URLが正しいか
「人間が確認する」とだけ決めるより、確認項目を具体的にしておくと、判断のばらつきを減らせます。
また、情報が不足している場合の対応も決めておきましょう。
記事本文や必要な情報が不足している場合は、推測で補わず、人間に確認する。
AIが迷ったときに立ち止まる条件も、仕事の設計の一部です。
設計した内容を1枚にまとめよう
ここまで決めた内容を、AI社員の「業務設計シート」としてまとめます。

長い資料を作る必要はありません。誰が見ても、何を任せるAIなのかがわかれば十分です。
項目 | SNS投稿案作成AI社員の設計例 |
|---|---|
AI社員の名前 | SNS投稿案作成担当 |
目的 | ブログ記事を紹介する投稿案の作成時間を減らす |
担当業務 | 記事の要点を整理し、Xの投稿案を3つ作成する |
毎回受け取る情報 | 記事本文、記事URL、今回伝えたいこと |
共通で使う情報 | 想定読者、文体、避けたい表現、過去の投稿例 |
成果物 | 投稿文3案、記事URL、各案の狙い |
完了の基準 | 記事に沿った、切り口の異なる3案がそろっている |
使用するツール | AIとのチャット |
人間が確認する箇所 | 内容の正確さ、誇張の有無、文体、URL |
人間が行う作業 | 投稿案の選定、必要な修正、公開 |
情報不足時の対応 | 推測で補わず、人間に確認する |
このシートがあると、次回準備する指示やマニュアルに、どの情報を含めればよいかがわかります。
運用後に問題が見つかった場合も、「渡す情報が足りなかったのか」「成果物の基準が曖昧だったのか」を振り返りやすくなります。
まとめ・次回予告
今回は、最初のAI社員に任せる仕事を、5つの項目に分けて設計しました。
- 担当業務
- 受け取る情報
- 作成する成果物
- 使用するツール
- 人間が確認する箇所
大切なのは、何を渡し、何を作ってもらい、どこで人間が判断するかを明確にすることです。
まずは、前回選んだ一つの業務について、業務設計シートを作ってみましょう。
次回は、この設計をもとに、AI社員に渡す指示・知識・業務マニュアルを準備していきます。
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