エンジニアリング

仕様駆動開発とは?メリット・デメリットとTDDとの違いを徹底解説

JAPANWAVE編集部2025年10月18日読了時間: 4分
仕様駆動開発とは?メリット・デメリットとTDDとの違いを徹底解説

仕様駆動開発(SBD)とは?メリット・デメリット・TDDとの違いをわかりやすく解説

※ SBDはSpec-Based Development(スペック・ベースド・デベロップメント)の略称になります。

はじめに

近年、アジャイル開発の普及により「テスト駆動開発(TDD)」や「ドメイン駆動開発(DDD)」と並んで注目されているのが、仕様駆動開発です。


本記事では、仕様駆動開発の基本的な考え方から、メリット・デメリット、テスト駆動開発との違いまでをわかりやすく解説します。

1. 仕様駆動開発(SBD)とは?

仕様駆動開発とは、「まず仕様(要件)を明確に定義し、その仕様を中心に開発を進める手法」です。

つまり、開発を始める前に「何を、どのように実現するか」を文書化・構造化し、これを基準に設計・実装・テストを行います。

一般的には以下のような流れで進行します。

  1. 仕様定義:ビジネス要件をもとに、機能仕様や非機能要件を明確化
  2. 仕様の自動化:仕様をコード化(例:Gherkin形式など)
  3. テスト自動生成・実装:仕様をもとにテストやコードを生成
  4. 検証・レビュー:仕様に基づく動作確認を実施

2. テスト駆動開発(TDD)との違い

多くの人が混同しがちなのが、TDD(テスト駆動開発)との違いです。

項目

仕様駆動開発(SBD)

テスト駆動開発(TDD)

基準

仕様(要件)

テスト(機能単位)

開発の起点

ビジネス要件・仕様書

テストコード

目的

「正しいものを作る」

「正しく作る」

利用フェーズ

要件定義~実装

実装~テスト

ドキュメント

自動生成される仕様書

テストコードが仕様書代わり

TDDがエンジニア中心のアプローチなのに対し、SBDはビジネスと開発の共通言語を作るアプローチと言えます。

3. 仕様駆動開発のメリット

1. コミュニケーションコストの削減

仕様が明文化されているため、開発者・デザイナー・ビジネス担当者の間で認識のズレが起こりにくくなります。

2. 変更に強い設計が可能

仕様が中心にあることで、機能変更や追加時も影響範囲を正確に把握できます。

3. ドキュメントの自動生成

仕様をコードとして管理することで、常に最新の仕様書が自動生成される仕組みを構築可能です。


4. 仕様駆動開発のデメリット

1. 初期設計コストが高い

最初に詳細な仕様を作り込む必要があるため、スピード重視のプロジェクトには不向きです。

2. ツールやプロセス理解のハードル

CucumberやSpecFlowなどのツールを使いこなす必要があり、学習コストがかかります。

3. アジャイルとのバランス調整が必要

アジャイル開発のような柔軟さと、仕様中心の堅牢性の両立が求められます。

5. 代表的なツール・フレームワーク

ツール名

概要

Cucumber

Gherkin形式で仕様を記述し、自動テストを生成できるツール。Ruby・Javaで広く利用。

SpecFlow

.NET向けの仕様駆動テストフレームワーク。

Behave

Python向けのBDD(行動駆動開発)フレームワーク。

特に「Given-When-Then」形式のGherkin構文は、非エンジニアでも理解できる仕様記述として人気があります。

Feature: ログイン機能
  Scenario: 正しいパスワードでログイン成功
    Given ユーザーがログイン画面を開く
    When 正しいIDとパスワードを入力する
    Then マイページが表示される

6. まとめ

仕様駆動開発は、「チーム全体で同じゴールを見据える」ための強力なアプローチです。
要件定義の曖昧さをなくし、開発スピードと品質を両立することが可能になります。

ただし、初期の設計・教育コストが高いため、中長期的なプロジェクトや複数人開発で特に効果を発揮します。

お気軽にご相談ください

AIとITの力で、ビジネス課題を根本から解決します。まずはお気軽にご相談ください。

システム開発について相談する

この記事をシェア

※ 本記事の内容は、執筆時点での情報に基づいています。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。 また、記載されている内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の状況に対する専門的なアドバイスではありません。 ご利用にあたっては、必要に応じて専門家にご相談ください。