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【第3回|AI社員の作り方】AI化の優先順位を決め、導入ロードマップを作ろう

JAPANWAVE編集部2026年9月13日読了時間: 11分
【第3回|AI社員の作り方】AI化の優先順位を決め、導入ロードマップを作ろう
目次

前回は、普段の業務を棚卸しし、「人間がやる」「AIに補助してもらう」「AIに任せる」の3つに分類しました。

AIに任せられそうな仕事が見えてくると、「あれもこれもAI化したい」と感じるかもしれません。しかし、一度に取り組むと、準備や修正に追われてしまいます。

そこで今回は、棚卸しした業務の中から、最初にAI化する業務を一つ選び、導入ロードマップを作ります。

大切なのは、AIを導入すること自体ではなく、自分の負担を減らし、重要な仕事に使える時間を増やすことです。

すべての業務を一度にAI化しない

AIに仕事を任せるには、指示を考えたり、必要な情報を用意したり、成果物を確認したりする必要があります。

最初から複数の業務をAI化すると、どこに問題があるのか、どれくらい効果が出ているのかがわかりにくくなります。

まずは一つの業務で試し、うまくいった方法をほかの業務へ広げていきましょう。

最初のAI社員に求めるのは、何でもできることではありません。一つの仕事を安定して手伝ってくれることから始めれば十分です。

AI化の優先順位を決める3つの基準

前回の棚卸しで「AIに補助してもらう」「AIに任せる」に分類した業務を、次の3つの基準で見直します。

発生頻度

まず、その業務がどれくらいの頻度で発生するかを確認します。

  • 毎日発生する
  • 毎週発生する
  • 毎月発生する
  • 必要なときだけ発生する

繰り返し発生する業務は、一度仕組みを作ると継続的な効果が期待できます。

1回あたりの削減時間が短くても、毎日行う仕事であれば、月単位では大きな差になります。

作業時間

次に、1回あたりの作業時間と、月間の合計時間を確認します。

計算方法はシンプルです。

月間の作業時間 = 1回あたりの作業時間 × 月間の実施回数

例えば、1回30分の業務を月20回行っている場合、月間の作業時間は10時間です。

「何となく大変そう」という感覚だけでなく、実際にどれくらい時間を使っているかを見ることで、改善する価値のある業務を見つけやすくなります。

正確な時間がわからなければ、まずは概算で構いません。

AI化しやすさ

時間がかかる業務でも、すぐにAIに任せられるとは限りません。

次のような特徴がある業務は、AI化の候補として検討しやすくなります。

  • 作業の手順がある程度決まっている
  • 必要な情報がデータとしてそろっている
  • 成果物の形式が決まっている
  • 出力が正しいか、人間が確認しやすい

反対に、その場の状況に応じた判断が多い仕事や、必要な情報が整理されていない仕事は、準備に時間がかかります。

その場合は、業務全体を任せるのではなく、「情報の整理だけ」「下書きだけ」のように、任せる範囲を小さくすると取り組みやすくなります。

確認・修正時間を含めて改善効果を見積もる

AIが短時間で成果物を作れても、それだけで業務が効率化されたとは限りません。

指示や情報の準備に時間がかかったり、出力を大幅に修正したりすれば、かえって負担が増えることもあります。

AIに作らせる時間ではなく、使える成果物が完成するまでの時間で比較しましょう。

現在の作業時間を計算する

まず、現在その業務にかかっている時間を確認します。

情報を集める、文章を書く、内容を確認するなど、完了までに必要な作業を含めて考えます。

例えば、1回30分、月20回の業務であれば、現在の作業時間は月10時間です。

AI導入後の作業時間を予測する

次に、AIを使った場合に必要な時間を見積もります。

  • 指示や入力情報を準備する時間
  • AIの処理を待ち、ほかの仕事ができない時間
  • 成果物を確認する時間
  • 間違いや不足を修正する時間

例えば、これらを合わせて1回10分になれば、月20回で月3時間20分です。

なお、AIが処理している間に別の仕事ができる場合は、待ち時間と自分の作業時間を分けて考えると、負担の変化を把握しやすくなります。

月間の削減時間を算出する

導入前後の作業時間を比較すると、削減時間を見積もれます。

月間の削減時間 = 現在の月間作業時間 − AI導入後の月間作業時間

先ほどの例では、月10時間から月3時間20分になるため、月6時間40分の削減が見込めます。

ただし、これは予測です。実際に試して、確認や修正にかかった時間を測り、見積もりを更新しましょう。

また、最初の設定や準備にかかる時間、ツールの利用料金、運用後のメンテナンスも忘れずに確認します。削減時間だけでなく、必要な品質を保てるかも重要です。

AI化する業務を優先順位マップに整理する

ここまでの情報をもとに、「改善効果」と「AI化しやすさ」の2軸で業務を整理します。

発生頻度と作業時間から削減できそうな時間を見積もり、それを改善効果の目安にします。

AI化しやすい

AI化しにくい

改善効果が大きい

最優先で試す

業務を分解し、一部分から試す

改善効果が小さい

準備が少なければ試す

いったん後回しにする

厳密に点数をつけなくても構いません。まずは「高・中・低」などで比較するだけでも、取り組む順番が見えてきます。

優先して取り組む業務

優先したいのは、改善効果が大きく、AI化しやすい業務です。

繰り返し発生し、手順や成果物が決まっている仕事から探してみましょう。

ただし、AI化しやすくても、間違えたときの影響が大きい業務は慎重に扱います。

最初は人間の確認を挟めるものが適しています。

小さく試してから判断する業務

改善効果は大きそうでも、AIでどこまで対応できるかわからない業務は、小さく試します。

業務全体を自動化する必要はありません。まずは一部分だけ任せて、成果物の品質や修正の手間を確認しましょう。

実際に試した結果、「思ったより使える」「修正が多く、まだ効果が小さい」と判断できれば、それも次の優先順位を決める材料になります。

人間が担当し続ける業務

重要な意思決定や、相手との信頼関係に関わる対応などは、人間が担当する部分を残します。

これは、単にAI化が難しいからではありません。責任や判断を、人間が持つべき仕事もあるためです。

AIには判断材料の整理や下書きを任せ、最終判断は自分が行う。こうした分担でも、十分に負担を減らせます。

最初にAI化する業務を一つ決める

優先順位を整理したら、最初に取り組む業務を一つ選びます。

迷ったときは、次の条件を確認してみてください。

  • 定期的に発生し、試す機会がある
  • 必要な情報をすぐに用意できる
  • 成果物の良し悪しを自分で判断できる
  • 間違えても、公開や送信の前に修正できる
  • 導入前後の作業時間を比較できる

選ぶ単位は、「営業」「マーケティング」のような大きな仕事ではなく、「問い合わせへの返信案を作る」など、完了がわかる具体的な作業にします。

この段階では、使用するツールや細かな指示まで決める必要はありません。

まずは、何を最初にAI化するか、どの状態になれば成功といえるかを明確にしましょう。

AI社員の導入ロードマップを作る

最初に取り組む業務が決まったら、どの順番でAI活用を広げていくかを整理します。

各ステップには、「取り組むこと」「目安の時期」「次へ進む条件」を書いておきましょう。

時期は仮で構いません。予定どおりに進めることよりも、品質や効果を確認してから次へ進むことが大切です。

STEP1:一つの業務で試す

選んだ業務で、AIに仕事を任せてみます。

最初は人間が入力情報を渡し、成果物を一つずつ確認する形で十分です。指示や必要な情報の準備、実装方法については、第4回から第6回で具体的に扱います。

この段階では、「求める成果物が作れるか」「どこに修正が必要か」を確認します。

STEP2:効果を測定して改善する

何度か実際の業務で使い、導入前後の作業時間を比べます。

確認・修正の時間も記録し、負担が減っているかを見ていきましょう。

修正が多い場合は、指示や入力情報を見直します。必要な品質を保ちながら、繰り返し時間を削減できるようになったら、次の段階を検討します。

STEP3:関連する業務へ広げる

一つの業務が安定したら、その前後にある関連業務へ広げます。

すでに用意した情報や手順を活用できる仕事であれば、新たな準備を抑えやすくなります。

広げるときも一つずつ追加し、確認や修正の負担が増えすぎないかを確かめましょう。

STEP4:外部ツールと連携して自動化する

仕事の進め方が固まってきたら、情報の取得や成果物の保存などを外部ツールと連携します。

人間が繰り返しているコピー・貼り付けなどを減らし、作業をつなげていく段階です。

ただし、送信・公開・削除など、外部への影響がある操作は、自動化する範囲を慎重に決めます。必要な箇所には、人間の承認を残しましょう。

具体的な連携方法は、第7回で紹介します。

STEP5:複数のAI社員につなげる

複数の業務が安定してきたら、担当ごとのAI社員をつなぎます。

それぞれの成果物を次の担当へ渡せるように、引き継ぐ情報や確認箇所を整理します。

ただし、AI社員を増やすことが目的ではありません。一人のAI社員で十分に仕事が回るなら、その構成のままでも問題ありません。

必要な範囲で連携し、自分の事業に合ったAI組織へ育てていきましょう。具体的な設計は、第8回で扱います。

まとめ・次回予告:最初のAI社員を設計する

今回は、棚卸しした業務からAI化の優先順位を決め、導入ロードマップを作る方法を紹介しました。

進め方は、次のとおりです。

  1. 発生頻度・作業時間・AI化しやすさを確認する
  2. 確認や修正の時間も含めて、改善効果を見積もる
  3. 最初に取り組む業務を一つ選ぶ
  4. 小さく試し、効果を確認しながら広げる

目指すのは、すべての仕事をAIに置き換えることではありません。自分が担うべき仕事に、より多くの時間を使える状態を作ることです。

次回は、今回選んだ業務をもとに、最初のAI社員の役割と仕事を設計します。

担当業務、受け取る情報、作成する成果物、使用するツール、人間が確認する箇所を決め、実際に仕事を任せるための準備を進めていきましょう。

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※ 本記事の内容は、執筆時点での情報に基づいています。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。 また、記載されている内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の状況に対する専門的なアドバイスではありません。 ご利用にあたっては、必要に応じて専門家にご相談ください。